令和5年(2023)

12月 藤村操
  巌 頭 之 感
明治36年(1903)5月22日、或る青年(満16歳10カ月、旧制第一高等学校)の
自殺が、社会の人々に大きな衝撃を与えた。彼の名は、藤村操。日光華厳の滝、巌
頭の大きなミズナラの樹肌を削って書き残した文言が、「巌頭之感」である。


巌頭感
悠々たる哉天壤、遼々たる哉古今、五尺の小躯を以て
此大をはからむとす。ホレーショの哲學竟に何等の
オーソリチィーを價するものぞ。
 

萬有の眞相は唯だ一言にして悉す、曰く、「不可解」。
我この恨を懐いて煩悶、終に死を決するに至る。
既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。     
始めて知る、大なる悲觀は大なる樂觀に一致するを


悠々:遥かに遠いさま、限りなく続くさま
天壌:天地・宇宙

遼々たる:はるかなる、延々たる
竟に:ついに(遂に)
萬有:宇宙にある全てのもの、物的精神的の全て森羅万象
悉す:つくす(尽くす)



文意:
遥かなる宇宙、計り知れない無限の大きさ(その中の我が身は無に等しい)
遥かなる無限の時の流れ(その中で我が人生の時間など無に等しい)
この小さな体と瞬間的に過ぎる短い人生でもって、無限の大きさと無限の時間を理解しようと努力してきた。 しかし、哲学者の考えをもってしても、なんら真相の解明には値しない。
宇宙の真相、森羅万象は「不可解」の一言に尽きる。自分がどこから来てどこへ行くのかも分からない。自分はこのことを考えて長い間苦しみ悶え、遂に自ら命を絶とうと決意した。今、私は華厳の滝の上に立ち飛び込もうとしているが何の不安も感じない。此処にいたって初めて分かったことだが、大いなる悲観は大いなる楽観と同じである。

読後心感(岩永):藤村操は万有の真相を求めたが、どうしても不可解であり、生きる目的を探し当てることが出来なかった。目的の分からない人生に意味無しと考えて自ら死を選んだのである。万有の真相が如何なるものか、人生の目的は何か、これらは全て法華経に詳しく説かれている。もしこの青年が宮沢賢治の如く法華経に出遭っていたならば、彼はどれほど素晴らしい人生を全うしたであろうか、悔やまれてならない。

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今 日 の 一 言 

12月:「反日種族主義」読みました。

 「反日種族主義」読みました。かつて読んだ「ワイルドスワン」、中国共産党員の妻がかいた壮絶な記録、に匹敵するような大作と言えるでしょう。

証拠資料と証言に基づいた、感情抜きの大作です。国内での弾圧に耐えながら40年間にわたる調査研究の末、韓国を何とかして救いたいという思いで綴られた著者(6名の韓国人)の決意が感じ取られる大作・研究書ですね。韓国でもベストセラーになっているといいますから、果たしてこれを読んだ韓国民がどう対応するかが気になります。著者が最後に述べている「亡国の予感」のようにすでに手遅れではないかという感じもします。前法務大臣曺国氏のように「吐き気がする」という人も居るし、大半の国民が「この著書とは正反対の教育」を徹底的に受けたわけですから、あまり期待はできないかもしれませんが、静かに見守っていきたいと思います。

 韓国外におけるまともな研究者や歴史家の間ではすでに調査が行われて分かっていたことも多く書かれていますが、これを韓国人歴史家が自ら調査して証拠を集めて韓国内で出版したことに大きな意味があると思います。

 

1月:日韓関係における植民地支配という誤解

19世紀、それはヨーロッパ諸国がアジア・アフリカに多くの植民地をつくり、搾取に搾取を重ねて富を蓄積し豊かさを謳歌した時代でありました。

 世の中では「日本が朝鮮を植民地にした」と言う人が多く居ますが、これが大きな間違いであり、いろいろなトラブルの原因にもなっています。台湾や朝鮮はいずれも条約によって日本と合併したわけで、彼らの国籍は日本人になったのです。分離もまた条約(サンフランシスコ講和条約)によってきまったということを認識しなければいけません。

 台湾は1895年4月17日日清講和条約で中国から日本に割譲され、植民地ではなく日本領土となり、住民は日本国民になったわけです。

 朝鮮半島は、1910822日の日韓併合条約によって日本国の一地方になり、住民は日本人となったという経過であって、決して搾取を目的とした植民地ではありません。

 ですから彼らは日本の教育を受け日本政府の保護を受け、日本人としての義務を要求されたのです。日本国は国家予算の多くを台湾地区・朝鮮地区に注ぎ込みインフラ整備や学校建設・教員養成など教育に力を入れてその地域を発展させました。以前とは台湾も朝鮮も見違えるようによく整備されました。ヨーロッパの国々によって植民地にされたアジア・アフリカの国々では、国民がイギリス人やフランス人、オランダ人スペイン人などになって、その国民の権利を得たわけでなく、宗主国は現地から搾取するだけ搾取して、教育やインフラに対する投資は自国にとって必要なもの以外に殆どなされていません。日本のマスコミ知識人や政治家までもが「植民地支配の清算をして云々」などと言うことが多く、問題をこじらせているのです。歴史を正しく、直視しろ!と言いたいです。国の呈をなしていなかった朝鮮を、少なくとも1~2流国家のレベルにまで上げて国民生活を豊かにしたのは日本と合併した結果である。これは日本による歴史記述を見ても明らかですが、欧米の歴史研究家による検証でも明らかにされています。それは 植民地研究の第一人者であるイギリス人、Alleyne Ireland "The New Korea" 日英対訳本あり、また、アメリカ人、George Akita, Brandon Palmer 著 塩谷紘訳「Japan in Korea, Japan's Fair and Moderate Colonial Policy and Its Legacy on South Korea's Development Miracle に詳細な検証が述べられて居ます。

 要するに「植民地支配の清算」などということはありえないはずです。再び分離して独立するときは、現地の財産を元の持ち主に返さなければいけません。歴史を直視して交渉に臨むことが大切で、朝鮮半島の人々による歴史の捏造は挙げればきりがないけれども決して許してはいけないことです

 金言: 「天下は悪に亡びずして愚に亡ぶ」

令和6年: 2024

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8月: 平和と自由を守る

憲法9条が無くなれば、軍事国家化するとか、侵略を始めるとか、の意見がよくみられるが、子どものような短絡思考としか思えない。軍隊の本来の存在意義は、戦争を抑止することにあり、平和を欲するなら、侵略に備える必要性を理解できていないようです。これでは思考停止、思考放棄となんら変わらない。誰だって戦争なんかしたくない、戦争だけは絶対にいやなのです。平和と自由は、無条件にあるものではなく、獲得するものであり、また維持するためには大変な努力が必要です。

 憲法9条があれば平和と自由が保障されるというような頭の中がお花畑の状態では、今後の平和を維持することは難しいのではと感じ、非常におそろしいことだと思います。永世中立国のスイス、オーストリアは、永世中立を守るため国民皆兵制度で軍隊を維持する努力をしている。摸倣する必要はないが、自覚は必要でしょう。

3月: 書籍の紹介と読後感想

先日2期生の本間裕朗兄から一冊の書籍を贈って頂いた。題名は「死は存在しない」、著者は有名な量子物理学者である。

その読後感想を紹介します。
 結論から言うと、この書はお釈迦様の教え(仏教)を科学的に説明しようと試みたものである、と私は思った。森羅万象全てを悉く知り尽くしている仏を量子物理学的に「宇宙のゼロポイントフィールド」という「語」で言い表し、物体や意識に関する説明は仏教の根本思想の一つである「色即是空 空即是色 受想行識 亦復如是」を量子物理学的に説明している。勿論この説明にも限界がある。しかし「この世で最大の宗教である科学」の信者に仏教を説明するには非常に優れた著作であると思う。

 久遠本仏、お釈迦様、はどのように説かれたのか要約すると以下のようになる。
三次元の空間及び時間という次元の中で暮らす人々にとって次元の異なる仏の世界を理解することは出来ない、仏の世界は成仏した仏だけが知り得るものであり、どんなに優れた学者が百千万人集まって知恵を絞って考えても、その一端さえも知ることは出来ない。ただし信力堅固な菩薩はそれを知ることが出来るのだ。仏の世界を言葉で言い表すことは出来ないが、この世の姿に例えて言うならば、「仏の世界は安穏として、喜びに満ちた人々が集い、園も館も美しく、木々に花咲き木の実成り、天には美しい楽曲がながれ、人々が楽しく過ごすところである」と、このように喩えられるだろう。

 仏の教えに出遭う機会に恵まれた人は幸せです。しかし仏の世界を知るには信力堅固な菩薩にならなければいけません。「信力堅固な菩薩」とは何か。先ず「菩薩」とは何かですが、「仏の世界に入りたいと願って真実をもとめ、仏の教えに従って修行し、同時に他の人も同じようになってほしいと願い努める人」を「菩薩」と言います。この菩薩の中で仏の言葉を不退転の意志で信じ実行する人が「信力堅固な菩薩」なのです。

平成31年・令和元年 (2019)